思考実験-漫画版のエンツォは誰の子なのか?-

本記事には、執筆時点(2025年10月11日)では日本未公開の情報を含んでおり、また引用するセリフや描写等には誤訳・誤解が含まれる場合があります。
ネタバレが気になる方、誤情報が嫌な方は今すぐ違う記事を読んでください。これとかおすすめです。

オタクは思考実験が好きなので、今日も元気に思考実験を垂れ流していこうと思う。オタクは思考実験が好きなので。あと、誰がなんと言おうと私はチェシアレが好きだ。なんか韓国でバズってたし、その結果炎上したり炎上したり炎上したりしていたけれど。
本件に関しては作者の問題も大きいのだが、そっちはそっちで「これが事実なら作者にはぜひ、がるまにでシチュボの台本を書いて貰いたいのだが……?」とアクロバット擁護をかましてしまったので、まあなんていうか。私は今日も兄のことが好きです。

前提
ノベル版設定ではチェシアレとエンツォの母は共にアデーラと明言されている。
また、私の読み落としがなければチェシアレに養子設定はない。エンツォにもない。すなわち二人は正真正銘血の繋がった兄弟であり、教皇の実子である。

仮説1:ノベル版と同様、アデーラの子である

ノベル版からの設定変更はないという説。ただし、漫画版においてチェシアレは教皇の子ではないと明言されているため、エンツォとは異父兄弟になる。

論拠

アデーラとエンツォの髪色が同じ
教皇自身は濃いめの栗色〜黒あたりの髪色、現愛人であるジュリア(1話にいるぞ!)も同様に栗色がちの髪、アデーラが明るい茶髪という状況で、チェシアレが黒髪、エンツォがジンジャー色(公式表現)、ルビが金髪。となると……。
ちなみにチェシアレの黒髪は父親譲りであることが明示されていたりする。122話で一瞬出てくる顔も判然としない父親が、わかりやすく黒髪太眉の男性なので。あ、そこは父親に似たんだ。でも顔の造形自体はアデーラに激似なので、チェシアレは両親の特徴をそれぞれ上手い具合に引き継いでいることになる。
真っ当な家庭に生まれていたらさぞや可愛がられたことだろう。紛れもない“愛の結晶”だと伝わる顔立ちなので。あぁ……。

アデーラが教皇宅に迎え入れられたのは、エンツォを妊娠したからという可能性
仮説に仮説を重ねる形になるが、そもそもアデーラを招き入れた理由が「エンツォを身籠ったから」という可能性はあるのかなと思う。不義の子とはいえ実子。迎え入れて大事にしたいのかなという可能性は否めない。
チェシアレの回想を見るに、わりと突然、理由もよくわからないまま屋敷に引き入れられてる感じだったので、その唐突さの裏には……というやつである。
ただ、それならどうしてチェシアレまでまとめて一緒に引き取ったのかという話になってしまうのだが。

疑問点

先にアデーラが妊娠したのをきっかけに屋敷へ迎え入れたと書いたが、そうなると一つ大いなる疑問点が生じてしまう。
というのも、チェシアレとエンツォにはあまり身長差がないのだ。とりあえず下の図を見て欲しい。

作中の描写を参考に、私が感覚で作った身長差を示す図である。
ちなみにだが、チェシアレは121話~123話までの過去回において、明らかに身長が伸びている描写がある。どちらも私が仔チェシと呼んでいる姿(すなわち少年時代のチェシアレ)なのだが、教皇の側近男性と比べたとき、明らかに身長が伸びていることがわかる。
あと、仔チェシの姿に関しては具体的には以下のSIRU先生のポストを見て欲しい。

このぼろぼろな姿から小綺麗な格好になるまでの間に身長が伸びていたので、最低でも1年くらいの年月は経っているんじゃないだろうか。まあオタクの適当な考察なので信じないで欲しいが。作画にはどうしてもブレがあることを念頭に置いてから読んで欲しいのだが。
で、ここからが本題である。

エンツォ、一体いつ生まれたんだよ?
ぼろぼろな姿のチェシアレもかなり幼かったが、彼にはそれ以上に子供だった頃の姿がある。つまりチェシアレはある程度育ってからあの家に引き取られたことになる。
そんなチェシアレが小綺麗になり、身長も伸びたとき。エンツォと会話している姿が作中に出てくる。その際の身長差が上図に示したものというわけである。
確かに年長であるチェシアレのほうが高身長ではあるが、だからといって彼が教皇の養子になってからエンツォが生まれたとは言い難い身長差ではないだろうか。
しかも、作中に出てきたエンツォは、どんなに幼く見積もっても5~6歳が限界としか言えない姿をしている。
アデーラがエンツォを妊娠したから家に招き入れられたと考えるのは自然だが、そうなるとチェシが引き取られて比較的まだ日が浅そう(どんなに長くても数年が限度)な段階ですでにエンツォは結構大きいことと矛盾してしまうのである。

一応の反論
チェシアレはどうもネグレクト気味に育てられていた様子なので、まともに食事などしておらず歳の割には発育が悪かった可能性はある。
そんな仔チェシと、教皇の子だからと最初からある程度のお金をかけて育ててもらったので歳の割に発育のいい仔エンツォ、と考えれば5年〜6年くらいでこれくらいの体格差に追いつく可能性はギリギリある……、のか?
ただ、エンツォが仮に5歳としても、推定4歳でほぼ同世代くらいのルビ(※)がかなり幼いのがネックである。こっちはこっちで環境が悪くて栄養が足りてないからと言われたらそれまでなのだが。

※チェシアレに助けられたときのルビ。ノベル版設定ではチェシアレ26歳、ルビ18歳で、漫画版84話においてイースケ牽制中のチェシアレが12歳の頃がどうだと言い出すので、恐らく彼がルビを助けたのがこの年齢の頃と思われる。そこから逆算してあの頃のルビを4歳と言い張っている。ただし、ノベル版での同イースケ牽制場面において、チェシアレは「13歳の頃」と「妹は4歳になるまで戸籍に」と発言しておりなぜか1歳ずれている点に留意が必要。

仮説2:ほかの愛人に産ませた子なので、兄弟間に血縁はない

論拠

どう考えてもこの方が納得できる。この方が正直すっきりする。いくつかの点においての納得感が段違いだ。

チェシアレとエンツォの身長差問題がなくなる
まあ……、そうでしょうね……。

そもそもルビだって血の繋がりはない
エンツォはチェシアレのことをちゃんと兄と呼んでいたが、それは血縁ゼロのルビも同様である。彼女もチェシアレを兄と呼んでいた。だから別に、彼らの間に血縁がなくとも問題はないのだ。先に生まれたのがチェシアレで、あとから生まれたのがエンツォ。同じ家で生活し、同じ人間を父と呼んでいる。だから彼らは兄弟だ。何も矛盾はない。そう、何の問題もないのだ。

ふさわしい後継者がいない発言
チェシアレが引き取られたとき、教皇が「他人の種だから気は進まないが、ほかにふさわしい後継者がいないからな……」とぼやく場面がある。
仮にアデーラが自分の子を妊娠していると知っていたら、そしてそれを理由に彼女を屋敷に揚げたのだとしたら、わざわざ他人の子であるチェシアレを引き取って後継者として育てたりはしなかっただろう。そもそもアデーラ一人を屋敷に連れて行けばいい話で、彼女の息子は別に置いていってもよかったはずだ。
だが教皇は自分の養子にした。だってほかに候補がいないから。

矛盾点

じゃあエンツォは何者だよ
後継者として育てられはしないが、だからといって邪険にされるわけではなく、剣術などを教えてもらいながらすくすく育っている子供。何者なんだ君。まあほかの愛人に産ませた自分の子とかなんだろうが。
お勉強が全然ダメで後継者として育てるにはいかず、だから剣術でも習わせたんだろう知らんけど。だから彼以外に後継者になれる子供を探していたんだろう。教皇は。そこで白羽の矢が立ったのがチェシアレというわけだ。
そうなると、つまりチェシアレが賢い子なのは事前になんとなくわかっていたことなのかもしれない。あの教皇が、まさか後継者としての才覚があるかもわからない子供をわざわざ引き取って育ててみる、なんて手間暇はかけないだろうから。
とはいえエンツォも実子ではない可能性はあるわけだが、チェシアレのことは半殺しにするくらい虐待するのに、エンツォに対してはそうでもないあたり……、である。というか、82話でルビとダンスしていたチェシアレ曰く「やらかして父上にボコボコにされてたよ」なので、多分絶対に血まみれになって床に倒れ伏すしか出来なくなるほど殴られたりはしてないと思う。どうして……。

結論

血縁ゼロの三兄妹かあ~~~~~~~~~~~~~!!

余談:虐待の話

1話を読み返して気づいたことがある。教皇がルビに5度目の縁談、すなわちイースケとの婚姻の話を持ちかけた場面だ。話を聞いた瞬間、エンツォが声を荒げる場面だ。「破談から3ヶ月も経ってないんですよ、こいつの気持ちを考えてやるべきじゃないですか」と。それに対して教皇は、軽くエンツォを窘めて場を収めてしまう。
ところでチェシアレだが、ルビの最初の婚姻に際して「まだ早すぎる」と父を止めようとしたことがある。その結果がどうなったかというと、それは残念なことに上に書いたとおりである。血まみれになって床に倒れ伏すしか出来なくなるほど殴られて半殺しだ。
エンツォが婚姻を阻もうと叫んでも軽く注意して済ませるのに、チェシアレが同じことを言うと地下室行きだ。
私はよく、自分のことを人の心がないと形容する。だが、だがこれは。これはさすがにチェシアレが可哀想すぎないか……?
私が母親になってネグレクト状態のチェシアレを引き取って育てた方が全然マシなのでは!?
俺がある継母のメルヘンだ……! お後がよろしいようで。