わたしは鈴木達央が好きだ。今でこそ似たような顔の男を追いかけているが、それはそうと相変わらず彼のことがゆるくずっと好きである。
そんな達央といえば、過去OLDCODEXというバンドをやっていた。今でもわたしは当該バンドの亡霊をしており、何かあるごとに彼らの曲を聞いている。
その中でもよく聞くのが『smiling』という曲だ。メンタルがどん底に落ち込んでいた時、ファンに向けて歌ったこの曲に大変助けられたことがある。
誰かを励ますのに「日々の不安さえ抱えて跳ぼう」とか「抱え込んだ痛みさえそっと見えないように離れれば簡単さ」という言葉をかけてくるのが、あまりにも彼ららしくて大好きだった。
頑張って向き合おうとか、今でも十分努力しているよとか、そういう文脈の励ましはしてこない。忘れろ、目を背けろと言ってくる。不安と共存して上手くやっていこうぜと言ってくる。前向きを謳われても刺さらないネガティブに優しい励ましだ。
中でも一番好きな歌詞はやはり「その過ちも古い写本に書き足して忘れればいい」だろう。
OLDCODEXというバンド名は、OLD(=古い)とCODEX(=聖書等の写本)を意味する単語を組み合わせたものだ。つまりこの歌詞に出てくる古い写本は彼ら自身のこと。
つまりは「失敗しても気にするな、俺たちにぶつけて忘れろ」そういうことである。
この歌詞を読んだ時、本当にメンタルが終わっていたので大号泣した。ちなみに2021年7月30日の深夜にも聞いていた。この日の夕方、文春があの記事を出した。別の意味で泣くはめになった。
と、ここまでであれば郷愁に耽ったオタクのちょっといい話で終われるのだが、残念ながらそうはいかない。
わたしは今、人生で初めて「なんでOLDCODEXなんてバンド名にしたんだよ……!!!!」と憤っているからだ。
きっかけは話すと長くなるので手短にいくが、2024年の秋、わたしはいきなり縦読みロマンスファンタジー漫画にどハマりした。数多の作品を読んだが、その中でも、とある3作品が私にブッ刺さりとなった。
そしてそのうち2作品が、15世紀末から16世紀初頭にかけてイタリアでその名を轟かせたボルジア家をモチーフにしていた。ブッ刺さりになった作品には双方ともに性癖だなあと思った男がいたが、どちらも同一人物がモデルだった。気づいたとき、頭を抱えた。そんなことってあるんですね。
次に正気を取り戻した時には、ボルジア家について触れている本を片っ端から読み始めていたあとだった。私はずっと正気じゃない。
その中で、私はこういう記載に遭遇してしまった。
レオナルド・ダヴィンチが古写本を探している。
ただの写本でもちょっと面白いのに、古写本。新しいものではなく、古写本。そもそも写本自体が普段めったに目にすることがない単語だ。
のちに三大発明と言われる活版印刷が欧州に持ち込まれて間もない時代の、古い写本。
いくらなんでもOLDCODEXの直訳すぎるだろこの字面!!!!!!!!!!!!
勘弁してくれ。